平尾入定塚出土品(ひらおにゅうじょうづかしゅつどひん)と発掘調査(はっくつちょうさ)資料
Updated: October 29, 2018
Panoramic view of Nurijozuka
Hirao Iryujo Tomb
稲城市平尾と川崎市麻生区との境界付近に、入定塚と呼ばれる塚があります。入定とは、一般的には禅定に入ることや、聖者が死去することをいいます。真言宗の開祖空海が、禅定に入ることによって弥勒菩薩の来迎を待つことを説きましたが、この教えによって、中世以降各地で真言密教の僧侶の入定がおこなわれます。彼らは生きながら経文を唱え、塚の中に入って埋められるという、弥勒菩薩の来迎を待つための厳しい修業を行いました。
平尾にある入定塚は、昭和34年に発掘調査が行われました。出土した1枚の板碑の文字から、天文5年(1536年)8月15日に、長信という名の僧が入定した塚であることが明らかになりました。塚は1辺が約10.8mの方形をしており、塚の内部には約1.8m×2.1mの主体部があります。この場所の四隅に柱を立てて板囲いの部屋とし、その中で入定の修業が行われたと考えられます。この主体部の上は粘土層で覆われ、さらに上に土を盛って塚が築かれていました。
塚から出土した、儀式のために使われたと考えられる刀子1点や、中国から渡来した銅銭44点、主体部の施設を作るために使われたとみられる鉄釘7点と、発掘調査の資料51点の合計103点が、稲城市有形文化財に指定されています。
Excavated items from Hirao Irujozuka
Designated Nyujozuka of Excavated remains teeth, Copper coin 44 points, Iron nail 7 points, Iron knife 1 point for a total of 52 points.
Copper coin is from China Foreign currency in, Tang Dynasty coins・Song Dynasty coins・Ming coin There are some whose characters are difficult to read. Song Dynasty coins (10th to 13th centuries) are the most common Excavated These Copper coin teeth, Zen contemplation It is believed that it was used in the ceremony of the money of casting is not very popular, and most of it comes from China. Foreign currency This was the time when it was in circulation. Foreign currency of Zen contemplation It is believed to have been used in a ritual.
Iron nail is from the periphery of the main body Carbonization The pieces were found in a pile of wood, measuring between 8 and 13 centimetres in length. deterioration Although it has progressed considerably, square These nails are thought to have been used to build the main enclosure. Knife It is 24.5 centimeters long and 2 centimeters wide at its widest point, and is thought to have been used for rituals performed in the main part.
Excavation survey materials
昭和34年8月に行われた発掘調査で作成した資料です。資料としては、板碑拓本2点、遺跡・遺構の実測図面14点、調査写真33点、原稿下書き2点の合計51点です。板碑拓本は主体部から出土した9基の板碑のうちの2基の板碑の拓本です。うち1基の板碑拓本は、「天文五年丙申八月十五日長信法印入定上人」の銘文が刻まれたもので、入定塚の築造年代と入定した僧侶名がわかる貴重な資料です。実測図面、塚全体の実測図、遺構平面図、土層断面図、出土遺物(板碑等)平面図、鉄釘実測図などになります。調査写真は、入定塚全景、土層断面、板碑の出土状態、粘土層の状態、銅銭の出土状態、主体部全景、主体部床面の状態などの写真です。原稿下書きは、調査報告書用の原稿の下書きと思われるもので、入定塚の位置・規模・主体部の施設・板碑の出土状態などが書かれています。合計で400字詰15枚の分量です。これらの発掘調査資料は、入定塚出土品とともに、中世の入定塚の実態と発掘調査の状況を知るために、欠くことのできない重要な資料と考えられます。
Bronze coins excavated from Irijozuka